冷たく澄んだ森の小川では、銀白色のクチマガリがシャベルのような口で岩の上の珪藻をついばみ、岩に丸い食痕を残していきます。台湾のクチマガリは、苦花魚や鯝魚とも呼ばれ、タイヤル族からは真魚(Qulih Balay)と呼ばれています。この魚は、環境の清潔さに非常に敏感で、水質や水文が悪化すると去ってしまうか死んでしまいます。そのため、河川の汚染の生態学的な指標として見られている魚です。 非汚染環境では、クチマガリ、カンパチ、イシガキダイなどが自由に泳いでいるのが見られます。 軽度汚染の河川では、台湾馬口魚、タイワンリザード、台湾魚賓などが見られます。中度汚染の河川では、ハゼ、オイカワ、メダマなどが見られます。重度汚染の河川では、タイワンドジョウ、ドジョウ、カダヤシ、ティラピアなどの魚しか生存できず、河川の汚染物質が有害であれば、川の全区間が絶滅するなど、深刻な事態になることもあります。 クチマガリの個体数、ひいては台湾の河川の魚類個体数が激減しているのは、「無差別漁業」と「生息地の破壊」が主な原因であると言われています。